新卒で入った会社で働いていた頃、帰途につく私はコンビニに車を停めて毎日のように泣いていた。
毎日全力で働いて、働いて、悲しみも怒りも落ち込む気持ちもごちゃ混ぜになって、仕事終わりの私は「無」だった。
そんな私を溶かしてくれたのが、辻井伸行「亡き王女のためのパヴァーヌ」だ。
日が落ちて、コンビニの明かりだけが光る駐車場。音はそのまま体の中を通り抜けて、それに合わせるように、涙がすーっと流れては落ち、私は拭いもせずそのまま放っておく。
誰にも邪魔されない、ほんとうのわたしを取り戻すための時間。それは気休めでしかなかったけど、毎日「社会人」でいるための、かけがえのない時間だった。
damedesu.net